2023.07.19 初回鑑賞
宮崎駿監督/日本/2023年
観ました。普通に面白かった。けど少し期待値上げすぎたかな。宮崎作品じゃなかったらみんないい評価を付けていなかったような気がする。ジブリというブランド込みでの評判かなと思います。予告も宣伝もなしっていう戦略で、「一切広告出さないけど観るよね?」みたいな特別な映画です感をめちゃくちゃ出してたけど、千と千尋やラピュタやナウシカを観た後に残るあの独特な余韻を、本作ではあまり感じられなかったかな…自分はジブリ映画ってかなりの代表作しか観たことないんだけど、宮崎駿の作品って観終わった後何時間かその映画の世界観から戻って来れなくて独特な浮遊感みたいなのを味わうんだけど、それがなかった。これは音楽によるところも大きくて、エンドロールで久石譲が手掛けた主題が流れればそのまま映画の中の世界に浸っていられたのに、米津のテーマソングでスッパリ現実に戻された感じ。曲自体は良かったけど。
まあ良くも悪くも「令和のジブリ」だなと感じた。しかもマルチバース…wwwまさかジブリにまでマルチバースが侵食しているとはーーーーぁぁぁぁ!!!いやまあマルチバースの話、というわけではなかったけれども。でも概念としてはアクロスザスパイダーバースと同じでしょう(笑)
大筋は分かりやすかったけど、何を伝えたかったのか。主人公は何を成し遂げて何を手に入れたのか、そういうことは曖昧な描き方をされていたように思う。未完成な美しさ、というよりは監督の中ではつながっているんだけど観客には上手く伝わっていないというような感じ…音楽もわかりやすい主題がなくてつかみどころのない感じで、まあ昔のほうが勢いがあったというか、宮崎駿も久石譲も歳を取ったんだな…とひしひし感じた。
今回はもちろん全員前情報なしで観ているわけだから(すでに観た人から話を聞いていない限り)、それぞれがあのポスター1枚から一体どんな話なのか色々想像したことだろう。自分はこの作品が公開されると知ったたとき、最初はあまりの情報のなさに宮崎駿のドキュメンタリーか何かかと思っていたが(笑)、英題が「The boy and the heron」と知り、普通のアニメーション映画なんだ…と。
ファンタジーな世界ではなく普通に戦時中の日本が舞台で、主人公の少年は疎開先の田舎で異世界に繋がる不思議な塔としゃべるアオサギに出会う。塔の中に入っていった新しい母と亡くなった実母を探して少年はアオサギと異世界に潜り込む。現実世界と繋がりのある人物が出てきたりと、世界観としては完全にマルチバース。でも描写はジブリだな~って思うところがたくさんあって、特に冒頭の火事のシーンとか火を扱う女の子の場面とか。あとワラワラが可愛すぎて、あれが出てきた瞬間シアター内の空気が完全に癒しの空気になってた。