ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「ブラッシュアップライフ」感想

2023.01.08-2023.03.12

バカリズム&水野格&狩山俊輔/日本/2023年

 

 完走しました!めちゃくちゃ良かった!!ここに来てこんなに面白いテレビドラマが観られるとは思ってなかった。脚本が何より良かったので主にバカリズムが流石。でも音楽とか演出もシュールな感じで面白かった。

 ここ数年の日本のテレビドラマの中で個人的に印象に残ってるのはNHK精霊の守り人とTBSの義母と娘のブルースかなと思うけど(よく考えたら両方綾瀬はるかじゃん)、ブラッシュアップライフが全てを拭い去っていきました。

 

 人生を何周もするストーリー。初めの何話かは主人公の麻美が初めて死んでから、人間として次の人生を迎えるための徳を積むべく人生をやり直す話で、薬剤師になったりテレビ局に努めたり研究医になったりといろんな人生を送りながら、前世で起こった不幸な出来事のフラグを折っていく話だった。その辺まではよくある日本人が好きな逆行もののギャグかなって思ってたんだけど、まりりんもタイムリーパーと分かった辺りから最終回に向けてググっとスピードを上げて面白くなっていった感じ。実は麻美よりもさらに1周多いまりりん、1周目に飛行機事故で亡くなった親友のなっちとみーぽんを救うためにパイロットになるも何周しても上手くいかず、やり直しを繰り返していた。

 ラスト1周では麻美も一緒にパイロットを目指し、事故を阻止するためにまりりんとともに例の便の機長&副操縦士を狙う。もともとその便に乗る予定だった先輩パイロットとすったもんだあったけど、同じくタイムリーパーの河口さんのファインプレーで二人は無事に飛行機に乗り、航路変更により事故を阻止できた。ここまで来て全部がつながったというか今までやってきたこと全てが実を結んだ感。めちゃくちゃスッキリ。伏線たくさんあったらしく全部気づけたわけじゃないんだけど、最後に河口さんが出てきたり不倫阻止で命を救ったり浮かぶ車いすのある老人ホームだったり。最高の最終回だったね。ツイッターでのみんなの感想を読むのが止まらないよ。

 とにかく楽しい脚本だった。シリアスなのに笑えて、泣けるまではいかない感じが心温まるというか。まさに今までになかったテイストのドラマだなと思った。小さい子役のこが難しいこと言ってるのも面白いんだよな(笑)

 天国(?)の受け付けのシーン、バカリズム本人なこともあってめちゃくちゃシュールで面白かった。シロアリの写真がアリクイの使いまわしだったりとか、鯖が食材としての鯖だったりとか、人間のフリー画像とかww ちりばめられている細かいネタが全然白けない感じで全部面白かったなあ。人間は死んだら次も人間に生まれ変わりたがるけど、ほかの生物も死んだらまたその生物に生まれ変わりたがるっていう設定に、謎に納得感があった。っていうかほかの生物も死んだらあの受付に来るのかw

 最後、幼馴染4人で鳩に生まれ変わったのかそうじゃないのかはまあ視聴者のご想像にお任せってところなんだろうけど、締め方もすっきりしていて良かったです。

 

 そして役者さん全員の演技がものすごく自然な感じで、それが良かった。タイムリープ以外は本当に普通の生活を送っているっていうちぐはぐ感がシュールだった。自分は何かを演じた経験とかは文化祭の劇ぐらいしかないから分からないけど、ドラマとかを撮るときって日常モノだとしても少し普段とは違うようにというか、大げさ目に演じないといけないのかなとか思う。よく大げさに演じすぎて変に力んだしゃべり方だったりわざとらしい演技になっていてなんか観にくいなあってことあるけど、本作は本当に自然で、全員演技が上手くて感動した。

 

 日本のテレビドラマって、時代劇を除けばほとんど恋愛もの医療もの刑事ものしかない中、こういった「地元愛」「友情」っていうテーマを徹底的に描いているのが凄く心地よくて、特殊なCGも衣装もヴィランも出てこない分アイデア勝負な感じが凄く良かったなあ。視聴者が気づかない細部まで作り込まれた丁寧で見応えのある作品なのに、軽いコメディタッチっていうのがまた観やすい所以だったのかなと思う。

 あーなんか最初からもう一周したいな。ネットフリックスとかでそのうち配信してくれないかなー。