ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス」感想

2023.03.04 初回鑑賞

ダン・クワン&ダニエル・シャイナート監督/アメリカ/2022年

 

 ただただカオスだった。2時間半のカオス体験。観終わった後の感想も面白いとかカッコイイとか衝撃とかいう言葉で言い表すのは難しくて、でもなんか新しいな、と思った。感想を書くのがすごく難しい…

 ストーリーは複雑ではないのに分かりにくい。説明的なセリフも少ないから、わざとそういう風にしてるんだろう。ぱっと見じゃ良くわからない世界観を作り出したかったのかもしれない。マルチバースの導入が唐突で、かなり感覚的な描写だったのがなんかこういうジャンルでは新鮮だった。MCUとかだとそこら辺をSFチックに説明するけど、本作ではSF的な要素は少なかったように思う。とりあえず「アルファユニバース」って呼ばれるところで他の宇宙につながる方法を開発し訓練していたら、一人の少女(その世界のエブリンの娘)が高い通信能力を発揮して、やりすぎて精神崩壊して暴れまわっていると。で、結局最後までその娘の名前が覚えられなかった。エブリンが何度も間違えるから「なんとかチューバッカ」って呼んでたことしか覚えてない(笑)

 小さい機械を耳に装着してハイパージャンプ(だっけ?)をすると他の宇宙の自分とつながりその能力を使えるようになるんだけど、ジャンプするにはめちゃくちゃクレイジーなことをしなければならないという設定。この作品がカオスだったのは主にこの設定のせい(笑)アメリカンな下ネタも満載だったけど、オ~マリ~アを歌いだしたり踊りだしたりするのも十分クレイジーで面白かった。面白い要素があまりに多すぎて、シリアスなシーンでも笑えてくるのよ(笑)ってか指がソーセージの世界ってなんだよww 生命発生の条件がそろわなかった世界にも一応自分の分身いるのウケるしww 石同士が「ハハハハハ」って笑いあってんのシュールすぎて草。石にも意思があるんだ、イシだけに…(シーン)あと世界を破壊する肝心の装置(ブラックホール)がベーグルなのも緊張感なさすぎて草。

 映像表現にものすごい力入ってるな、という感じ。途中の各宇宙のエブリンがババババっと出てくるところ、いったい何人のエブリンを撮ったんだろう…編集にしてもすごい量。VFXチームお疲れ様としか言いようがない。音響も並々ならぬカオスさで良かった。全体的に音楽と効果音の混ぜ方がうまい。あとカンフーがカッコよかった。

 

 本作、アカデミー賞最有力候補とか言われているだけあってきっと皆かなり期待値高めで観た分賛否両論分かれてるよね。作風的にも好き嫌いあるのはわかる気がする。とにかくわかりやすい作品ではないから。アクションといっても内容をギャグに全振りしてるせいでカッコよさが霞んでしまっているし(悪い意味ではない)途中石のシーンでメッセージ性を盛り込んだセリフなんかもあったけど、ぶっちゃけそれがどうでもよくなってしまうぐらい、ラストの巨大ベーグルの前での乱闘がインパクトあった。

 個人的には、好きとも嫌いとも言い表しがたいけど、とても楽しかった。マルチバースの作品ってここ最近増えてるけど本作は新しい感じがしたし、非日常体験としてはこれほどのものはないなと思う。ストーリーが好きかとかそういう次元では観れないよね。カオスすぎるもんね…(笑)パート1、2、3と分かれてたけど、パート1がかなり長かったから途中もしや3部作構成になるのか…?と思ったけど、ちゃんと1作で完結してた。結末はよくわかんなかったけど。