ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「アド・アストラ」感想

2023.02.04 初回鑑賞

ジェームズ・グレイ監督/アメリカ/2019年

 

 似たようなビジュアルの映画が沢山あるから観たことあるかと思ってたけど観てなかった(笑)ということで今更ながら初鑑賞。ブラピとSFって、少し珍しい組み合わせな気がする。

 率直に言えば何をしたいのかよく分からない映画だった。酷いという程でもないけど、ストーリーは単純明快だから映像で殴ってくるのかなと思ったら最近の映画のわりに凄くインパクトがあるわけでもなく、ゼロ・グラビディほどの息が詰まりそうなスリルがあるわけでもなく、設定が特別面白いわけでもどんでん返し的な結末があるわけでもなかった。宇宙開発系のSFって既に山ほどあって似通った作画になりやすいから新しく作るなら個性を持たせるためにかなりの工夫や新発想がいると思うんだけど、そういうのが少し足りないような気がして残念だなと感じた。

 

 ストーリーの切り口としては悪くないと思う。宇宙開発がかなり進み月への旅行が可能になった時代に、地球外生命体の存在を求めて海王星のさらなる向こうを目指す計画があった。その計画が始まってから数十年、海王星の基地から発せられたサージが太陽系全域に悪い影響をもたらし始めたため、その調査という名目で計画の主導者の息子である主人公が海王星を目指す。この主人公とその父がなかなかの性格をしていて、宇宙探索に拘る余りに自分の行動を邪魔したり計画の半ばで地球に帰ろうとしたクルーを殺すヤバい親子。しかもどちらもまるで悪気がないのが怖い。そういうわけで主人公には全く共感できないストーリーなんだけど、ブラピの演技のおかげでクレイジーさをもわざとらしくなく感じてしまうのがさすがだなと思った。

 海王星の基地まで行ったらどんなすごい展開が待っているのだろうと思ったら、単に父と息子が再開し、父は年を取りすぎていた上に地球に帰る気もとうになかったので結局息子だけで戻ってくるという白紙展開。何もないのかよ。っていうか海王星まで行くのって少なくとも今の技術では10年以上かかるはずだけど、火星から80日程度で着くと思うととんでもないスピードで移動してるな(笑)ハイパースペース的なやつなのか?

 

 あとは心理検査とか身体検査のシステムがものすごく発達していたり飛行機に乗る感覚で月に行けたりとかなり技術的に進歩していそうな世界設定なのに、宇宙服は今あるものと同じようなゴツいものだったり、火星上を移動する車も一昔前にテレビや映画で見たようなすごく古臭い見た目だったりと、ところどころ時代感がちぐはぐだったのが気になった。細部まで発想を巡らせなかったのか、それともわざとなのか…やるなら徹底的にやってほしい。というか、未来の話なんだからそういうところでビジュアル的に面白くし放題なのに。あくまでリアリティを出すために現代の要素を残したんだろうか??

 音楽ももう少し欲しかったな。全体的にストーリーに起伏が少なかったからその分音楽を大げさにつけてほしかった。