2022.07.06 初回鑑賞
ラナ&リリー・ウォシャウスキー監督、トム・ティクヴァ監督/アメリカ/2012年
ネットフリックスのホーム画面にオススメとして出てきて、紹介文を読んで面白そうだったので、かなり期待値高めで鑑賞したんだけど…なんというか分かりにくい作品だった。難解ではなく分かりにくい。別々の場所、時代で起きている6つの出来事が最終的に一つに繋がっていくみたいな概要説明だったから、もっとがっつりとした繋がりがあって伏線が回収された時のスッキリ感みたいなのを期待していたんだけど、実際にはそこまで綺麗なつながりがあるわけではなかった。
テーマとしては輪廻転生なんだろうけど、それよりは人と人との物理的ではない繋がりを描いたヒューマンドラマに近い感じがした。6つのストーリーが、時代、場所、規模、内容ともに全く違うものだったのでごちゃごちゃしていて目まぐるしいが、逆にそれが本作品の面白さだともいえる。3回ぐらい観ないと全部はつかめないかな…ただ尺が3時間弱ととにかく長いので1回観るだけでも大変だけど。
時系列としては、奴隷貿易の時代に貿易交渉へ行く弁護士アダム・ユーイングの話(1849年)→作曲を学ぶロバートが科学者の恋人のシックススミスと別れ有名な作曲家のもとへ弟子入りする話(1931年)→雑誌記者のルイサ・レイが年を取ったシスミックに出会い、原発爆破の陰謀の情報を得ようとする話(1973年)→作家のキャヴェンディッシュが弟に金を借りようとしたが、愛想をつかされた弟に高齢者施設に入れられそこから脱走しようとする話(2012年)→ホテル(?)で働いていたクローンのソンミ451が革命組織のヘジュと出会い、彼と逃亡してクローンの扱いに反対する戦いに参加する話(2144年)→文明が崩壊し人類滅亡寸前の地球で、高い技術を持つプレシエント族のメロニムと出会い、他の惑星への移住のためSOS信号のある山頂へ向かう話(2321年)
それぞれの時代に登場する人が絶妙に繋がっているような繋がっていないような…パッと見て分かるような明快さでもないので、そこがスッキリしない主な要因である。6つのストーリーの主人公が一直線のつながりを持っているのかと思えばそういう訳でもなく、斜めに線が飛んでいく感じ。
エンドロールと後から他の人が書いている解説、相関図を読んでようやく分かったが、それぞれの時代で同じキャストが全く別々の役を演じているらしく、しかも相当な特殊メイクが施されているのでそれに気づけない。鑑賞中にわかったのはユーイングの妻のティルダとソンミぐらい。どうやったらユーイングとヘチュが同じ役者って分かるんだよwww主演のトム・ハンクスもすべての時代で登場しているものの、ザックリーと他5時代とであまりにビジュアルが違い過ぎてまったくわからなかった。ぶっちゃけ相関図を見て感動しましたもん。あまりにあからさますぎてもつまらないかもしれないが、もう少し分かりやすくても良かったんじゃないの…?
登場人物が多すぎるのも難点だった。各エピソードで最も重要となる人物が少なくとも2人ずついて、それ以外にもキーとなる脇役がポンポンでてくるものだから覚えきれない。
でも一人ひとりの人物相関で観るのではなく、もしかしたらもっとテーマ全体として繋がりを見出せばもう少し観やすくなったかもしれない。例えば最初の海岸でかつての人食い族が食べ残した人間の歯を拾うグース医師と、文明崩壊後の人食い族。時代は最も離れているはずなのに、歴史は繰り返している。6つのストーリーには共通点があって、人は過ちを繰り返し、一方でそれを止めようとする勇敢で善意ある人もいる。それらの罪や善意が未来を形作ってんだよみたいなのがこの作品の伝えたかったテーマなのかな。
何度もいうけど、1回観ただけじゃ細部まではほとんど掴みきれないほどに分かりにくい。かと言ってつまらないわけではない。
あと、描写的にはかなりR-18とR-15Gな感じのシーンが多かったかな。アジア人を下に見ている感じもあって、そういう意味ではあまり気持ちのいい映画ではなかった。でも映像は綺麗でした。特にネオ・ソウルの近未来的な映像はマトリックスを手掛けた監督だけあって良くできてた。