ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「キングダム2 / 遥かなる大地へ」感想

2022.07.20 TOHOシネマズ仙台 初回鑑賞

佐藤信介監督/日本/2022年

 

 原作未読、アニメ未鑑賞で3年前の映画だけ鑑賞済み。1作目がすごく良かっただけに、それを超えることはなかったかなという印象。ただ漫画の実写化という枠を超えて、一本の映画として完成度が高く日本の実写映画の中でもかなり上級の作品であることは間違いないと思う。

 この作品の良い点は、ストーリーが非常にシンプルで分かりやすい点にあると思う。題材的にも部分的に切り取って短編にしやすい作品であるとは思うが、原作を知らなくても、なんなら実写1作目を観ていなくても容易に理解できるような構成だった。

 

(以下、漢字が分からないので登場人物は全員カタカナ笑)

 1作目ではシンの相棒であったヒョウが秦国の王子えいセイの影武者として雇われたが殺され、ヒョウの夢をかなえるためにもシンが将軍を目指し、さらに弟とその配下に王座を奪われそうになるえいセイに協力して王座を取り戻すという、プロローグ的な話だったので、それを見ていると今作ではあまり語られなかった背景的な部分を知れて、より作品を楽しめたのかなと思う。

 2作目はえいセイやテンはあまり登場せず、メインはシンと姉妹の仇を討つために戦に参加していたキョウカイ。隣国の魏との国境戦で、シンは5人一組の歩兵として参加するが、その5人組で偶然にもキョウカイと一緒になる。地形を巧みに利用した魏と秦の2人の将軍の戦術的な駆け引きや、魏の大群に襲われながらも圧倒的な腕っぷしの強さで周りの敵を次々なぎ倒していくシンやキョウカイのアクションが見どころである。一つの戦いを軸に描いているので非常に見やすく、キャラクターも沢山出てくるものの、基本的にはシンと5人組のメンバー、将軍や千人将が誰かを認識していればついていける内容。

 さらに前作同様撮影の規模が非常に大きく、大平原に並ぶおびただしい数の兵士たちや砂を巻き上げながら走る騎馬隊、戦車隊の迫力も良かった。強いて言えば音響がもう一押し欲しかったところ。重低音を激しく聴かせて、音を超えた振動のような効果があればもっと見ごたえがあったと思う。平原で周りの景色が一色淡だったので、その地味さを紛らわせるためにも音楽の派手さというか地底から鳴り響く感じがあればなあという印象。Dolbyで観たので特に音響の効果はもう少し期待してしまった。

 

 アクションの演出とカメラワークがとてもスピード感があって良かった。特にキョウカイの舞うような剣術。スタントダブルがナイスすぎる。「トーントントン」って言いながら飛び跳ねてるところはさすがにワイヤーで吊ってる感じが丸見えだったけど(笑)衣装のひらひら感も相まってとても華麗だった。

 

 あと、出てきた3人の将軍がめちゃくちゃいい味出してた。王毅は1作目から登場していて今回も期待通りの演技だったが、白塗りの魏将軍と赤っぽい金髪の秦将軍もそれぞれキャラクターが立っていて対照的だったし、どちらにも感情移入できるような説得力のある役作りだった。個人的には白塗り将軍の「だから戦はなくならない」という台詞にグッときました。

 

 あとは予告で何度も観ていたキョウカイの「まだ生きてるじゃないか」とか王毅の「あなたさっきから死地に立っているんですよ」のシーンがとても良かったので満足。

 次作が早速来年来るみたいですね。今度はえいセイやテンも活躍するのだろうか。楽しみです。