ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「プラダを着た悪魔」感想

2021.12.18 2回目鑑賞

デヴィッド・フランケル監督/アメリカ/2006年

 

 何年も前に一度鑑賞したきりだったが、先日ディズニープラスで配信されているのを知り2回目の鑑賞。初回はまだ中学生の頃だったのであまり響かなかったが、大人になってから観ると様々な場面で心打たれる映画だった。

 主人公のアンディだけでなく、悪魔的な傍若無慈悲の編集長ミランダや上司のナイジェル、同僚のエミリー、恋人のネイトまで皆んなに共感できるのがこの映画の特に好きなところ。仕事、夢、私生活どれも大事で欠けてはいけない、しかしそれらをバランスよく両立できる人はなかなかいない。アンディのようなどこにでもいる新卒の女の子はもちろんのこと、ミランダのように表舞台では輝かしい功績を挙げている人でさえ、プライベートで悩みを抱えている。そんな現実がドラマチックに描かれている。

 何であれ、ミランダのように信念を突き通している人の生き様はカッコいいと思う。周りにどう思われても構わないと思える人はそういない。自信過剰で傲慢になり過ぎる欠点はあるが。しかしああいう鉄の女のような人が時折見せる笑顔にはなんだかこちらも嬉しくなる。

 また、ミランダの元で働きながら色々なことを学んでいくアンディの成長や周りの人物の変化の描き方も素晴らしいと思った。初めは上手くいかないこと全てをミランダのせいにして(もちろんミランダは大概ではあるが)、自分を顧みようとしなかったアンディ。しかしナイジェルの、「君は努力しないで甘えている」という叱咤激励に、ファッションとは何たるかを知ろうとしていく姿勢は素晴らしいと思った。それに伴ってどんどん綺麗になっていくアンディを、テンポのいい衣装チェンジで見せていく演出もとても良かった。

 全体的に「ファッション誌」を意識したお洒落な演出とテンポの良さ、ヒューマンドラマでありながら泥々した友人や恋人関係を描き過ぎないさっぱり感がとても良く、見応えのある映画だった。