ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」感想

2023.12.09 初回鑑賞

ポール・キング監督/アメリカ/2023年

 

 初日のドルビーで予約していたのに、まさかのシアターの機材トラブルで上映中止になり、結局土曜日のIMAXで鑑賞…よく通ってるとそういうこともあるもんですね。

 内容としては想像していたのとは違ったというか、もっとチャーリーとチョコレート工場に近い作風と思っていたけど、チャリチョコのクレイジーでファンシーな世界観を半分ぐらい引き継ぎつつ現代風にメッセージ性も込めてアレンジされた単体作品と言っていいような気がしました。上映時間が程よくて、子供も大人も楽しめる素敵な作品だったのではと思う。少なくとも修論があまり順調に進まず死にかけている自分には癒しの時間だった。

 

 ジョニーデップが演じたひょうきんで神経質なウォンカと同一人物だとは思わないほうがいい。少なくともチャリチョコの父親歯医者設定とかは吹っ飛んでた。ただあのウォンカには確か工場で働いていた従業員にスパイがいてそれがトラウマになっておかしくなったような話があったと思うので、それ以前の姿はまた違ったのかも。シャラメのウォンカは優しくて前向きでチョコレートの開発に熱心な好青年のイメージが強かった。子供のころに貧しい家で母が作ってくれたチョコレートが忘れられず、チョコレート店を開くことを夢見てグルメの街にやってきたウォンカ。しょっぱなで乞食の親子になけなしのお金を渡すお人好しさが夢を追いかけるのを邪魔しているような、見ていてもどかしい人物像。

 ミュージカル要素がかなり強く、各シーンの演出に非常に力が入っていてとても楽しめた。特に動物園にキリンのミルクを盗みに行った帰りにアーケードの屋根の上で踊るウォンカと少女のシーン、甘党オジ3ズが警部を説得するシーン、店を開いたウォンカが老人の手を引いて歌うシーン…ウォンカの「チョコレートを食べるとこんなにも幸せになれる」っていう感情が優しい歌声と鮮やかな演出で劇場いっぱいに満たされる。ハリポタの制作陣が関わっているだけあって、レトロでおしゃれな世界観に見事にマッチした撮影だった。音楽はそこまでキャッチーな感じじゃなかったかなー。チャリチョコの「ウィリウォンカ、ウィリウォンカ、天才ショコラッティッエ~~」みたいなポップで分かりやすい曲はなかった気がする。そういう作風じゃなかったし。

 ストーリーとして、もう少しウンパルンパとかチョコレート工場がメインに置かれると思っていたのでそういうのを期待した人にとっては期待外れだったのかなと思う。ウォンカの作るクレイジーでめちゃくちゃ美味しいチョコレートがいかに出来上がっているかみたいな話はほとんどなかったね。「チョコレート工場のはじまり」というタイトルで勘違いしがちだったけど、チャリチョコのあの段階のチョコレート工場ではなく本当に工場ができるまでの経緯を物語にした感じだった。まあなので「チョコレート工場のはじまり」で合ってはいたんだけど、もう少し工場の話は期待したかな…

 コミカルな要素はとても純粋に楽しめた。変な神父たちとか、個人的にはやっぱり甘党オジ3ズがツボだったなぁ。あとどんどん太っていく警部w

 

 幸せな作風に紛れて裏では商売人、警察、協会、宿屋での闇取引があり、裕福層と貧困層での格差、社会の暗部を描き現代のハリウッド映画的な要素もかなり盛り込まれていたように感じる。その点がやっぱりチャーリーとチョコレート工場とかけ離れた作風になっていた原因だと思う。最近のハリウッドではどんな作品であれ何かしらの社会問題を映画に盛り込むことはほぼスタンダードになってるし、きっと映画以前に乗り越えていかなければいけない問題が目に見える形で日常生活に浮き彫りになっているんだろうな。国民はそういった問題に関心が強いし、ハリウッドはタイトなテーマとエンターテイメントをうまく両立させるのが上手いなと思う。