ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー」感想

2022.11.11 TOHOシネマズ仙台 初回鑑賞

ライアン・クーグラー監督/アメリカ/2022年

 

 3DIMAXで鑑賞。ここ最近のMARVEL作品とは一線を引いたというか、だいぶテイストの違う作品だったかなと思う。しっかりしたアクション映画なんだけど、どこか静かな雰囲気を全体的に感じた。やっぱりチャドウィック・ボーズマンの追悼のために作った作品だということを表現していたのだろうか。ブラックパンサー2というよりは、1作目の後日譚として静かに見送りたい映画だったと思う。まあ最後にティ・チャラの息子も出て来たし「Black Panther will return.」がいつものように出てきてたからちゃんと続編ではあるし次もあるんだろうけど。

 アメコミらしいコミカルさとぶっ飛び加減は少し鳴りを潜めていて、戦いも全世界を巻き込むようなものではなくひっそりと生きるワカンダとタロカンという二つの小国同士の争い。まさかのワカンダ以外にもヴィブラニウムが存在するという衝撃事実。そりゃあ常識が覆されるわ。女王が言ってた通り。

 もう一つのヴィブラニウムの所有国であるタロカンは、ワカンダと同じように資源を他の国にとられないように世界から知られずに生きる海底の王国。タロカンはもともと地上に住んでいた民族が戦争から逃れるために不思議な力を持つ海中の草を口にし、鰓呼吸できるようになった種族の作った国。地上にいると肌が青くなってしまうらしい。その種族の第一子はまさかの突然変異体で、足首についた羽で空を飛べるうえに肌も青くなく、皮膚呼吸ができる。つまり地上でも海中でも生息できる両生類。それが今回のヴィラン的な存在であるククルカン。タロカンの民からは神としてあがめられている長寿の男。

 ひょんなことから天才大学生リリの作り出したヴィブラニウム探知機をアメリカが使ったことがきっかけでワカンダはタロカンの存在を知ることになる。タロカンは戦争ばかりの地上の人類を恨んでいて、いつか地上に住む人類を全滅させることをもくろみワカンダに協力を求めた。ワカンダはティ・チャラを病気で亡くしたばかりで喪中だったが、タロカンへの協力を拒んだことで抗争になる。ククルカンに女王である母親を殺され、兄も失っていたシュリは復讐心にとらわれてククルカンを倒そうとブラックパンサーを復活させる…

 予告だけ観ていた段階ではこんな理由でシュリがブラックパンサーになるものとは思わなかったから少し驚いた。家族を亡くした深い悲しみと、悲しみを原動力にした戦いと、最終的にククルカンを殺さず寸でのところでワカンダとタロカンの争いを止めたシュリという流れにとても共感できたし、まだ若い女の子が必死にワカンダを背負おうとしている姿に応援したくなった。ティ・チャラを尊敬しているシュリだけど彼のように高貴になれなくて、復讐にかられた姿はまるでティ・チャラの従兄弟のようで…でも結局シュリはどちらでもなく彼女自身なのだ、と強くなっていく彼女を見るのが今後も楽しみ。

 

 ストーリーとは別に、今回は1作目のようなアフリカンな激しい音楽よりオシャレな歌モノの方が印象的だったところにも1作目とは違う作風を感じた原因があったように思う。シュリがタロカンの首都を訪れる場面や攻めてくるタロカンに備えて準備をしている場面で流れていた音楽、激しいアクションに挟まれていて静が強調されていたように思う。これはマーベル作品全体に言えるけど、マーベルは静と動の使い分けが本当に上手くて緩急がしっかりついているから3時間もある長尺でもスピード感があるように感じられるんだろうな。で、本作はアクションだけでなくチャドウィック&ティ・チャラの追悼という意味での上品で繊細な雰囲気に寄って仕上げられていた感じがした。もちろん他のBGMにはアフリカンな民族要素もしっかり入っていて、特にブラックパンサーのBGMの重低音は本当に聴いていて気持ちいい。音楽なのかビークルや巨大な潜水艇の音なのか、区別がつかないような感じがまた自然な感じで迫力が出ていて良かった。

 

 最近のMCUは衝撃作、みたいなのを狙いすぎな気がしていたけど、こういう神秘的な雰囲気の作品はとても好みだ。アメコミらしいというのからは少しテイストがずれていたという感じ。直前にアバターの予告が流れたのでタロカンの人たちがアバターに見えた(笑)クリーっぽくもあった。あと海での戦いだったからアクアマンも想起させたかな。