2023.04.26 初回鑑賞
アニーシュ・チャガンティ監督/アメリカ/2018年
今2作目を劇場でやってるとのことで話題になってるので鑑賞。脚本と画面構成で勝負してる感じの新しい映画だった。話自体はよくある感じの行方不明ミステリーなんだけど、全シーンPC画面内の映像で進めていく作り方が面白かった。
ストーリーは父子家庭の高校生マーゴットが突然行方不明になり、父が警察署のヴィック警部と協力してSNSなどの情報から娘を捜索する話。初めはマーゴットがなぜ姿を消したのかを探るために学校の友人などに聴き込みを行い、マーゴットの人柄や人間関係を徐々に知っていく父。中盤には犯人と思われる男が出てきてがマーゴットを殺したと自白し捜索が一旦終了したが、SNSでマーゴットとやり取りしていた人が偽のアカウントを使っていることを怪しんだ父はヴィック警部と自白した男につながりがあることを見つけ出す。ヴィックは最終的に息子が偽アカウントでマーゴットとやり取りをしている中でトラブルになり、誤ってマーゴットを谷に突き落としてしまったことを話した。マーゴットは無事に谷底から救出されてめでたしめでたし。
最初からヴィックが怪しい匂いをプンプンさせてたし、中盤で自白男が出てきたからまだ続きがあって最終的にマーゴット助かるルートってのは普通にわかるんだけど、PC画面内だけでどんどん進んでいくっていう構成がとてもよくできていたというか。伏線回収も秀逸。
人が映らず検索画面のシーンの尺もかなり長かったと思うから、撮影自体は短かったのかな。登場人物たちが移るのは画面越しのビデオチャットや監視カメラの映像のみだからVFXとかは一切使えないしカメラワークを工夫することも難しいのに、映画として見ごたえがあったのが良かった。表情は写っていないのにカーソルの動きで人物の感情がわかる。PCを使い慣れた現代人だからこそ読み取れる躊躇や焦り。マーゴットのSNSのロックを開けるためにメールにパスコードを送り、さらにメールのロックを開けるために違うメールにパスコードを送り…っていうシーン、すごい焦りというか必死感を感じられた。それにしてもお父さんの観察力すごすぎて、もう警察になったほうがいいんじゃないかってぐらい。
ポスターに「全く新しい映画体験=100%すべてPC画面」って思いっきり書いてあったけど、これ知らないで見たほうが面白いだろ…日本版フライヤーはすぐ余計な事書きやがって…
まだ随分古いWindows画面の時代、SNSが今ほど普及してなくてこういう事件も出てきだした頃と考えると、周りの人は急に事件が自分事になったような気がして怖いだろうな。いつ自分の身に起きてもおかしくないというか。ネット上の人と実際に会うときは気を付けよう。特に子供。