ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「テネット」感想

2020.10.24 TOHOシネマズ新宿 2回目鑑賞

クリストファー・ノーラン監督/アメリカ/2020年

 

 ここ数年で観たSF作品の中でも最も秀逸な一作だと思う。タイムスリップというテーマ自体はSFのなかでも定番中の定番なのに、ここまで独創的に描けるものなのか。すごい。逆行・逆転という発想と描写がとても面白く、インパクトのあるストーリーとそれに負けない映像や重低音を効かせた音楽が良かった。とてもノーラン監督らしい作風で、一度では理解できず2回以上観るとさらに新しい疑問がわいてきて、あとはひたすら考察したくなるような内容。全部は理解できないように描かれているのが逆に想像を掻き立てられて面白い。

 よくあるタイムスリップものは、過去に戻って起きたことを変えたりすることで未来を救う的な話が多いけど、テネットでは「起きたことは変えられない」が前提。時間は4次元を捉えるための概念でしかなく、過去も未来もそこにあるだけで動いているわけではないからたとえ時間を行き来できるタイムマシンがあったとしてもその流れを変えることはできない。数学的にはかなり現実に忠実でありながらも、フィクションとしてドラマチックな物語になっているというのはSF作品として大正解なのではないだろうか。ストーリーだけでなく、本作は演出がとても良かった。爆発や銃弾を逆再生するシーン、とてもユニークで面白かった。

 後から気づいたが、"TENET"ってタイトルも回文になっているのは偶然なのか意図的なのか・・・主人公の名前が一度も出てこなかったことや、リュックについていたキーホルダーの伏線などもすべて、後から気づくことが本当に多かった。