ただの映画日記

備忘録として映画の感想文を書いているだけ。

「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」感想

2022.04.08 TOHOシネマズ仙台 初回鑑賞

2022.04.12 TOHOシネマズ仙台 2回目鑑賞

デヴィッド・イェーツ監督/アメリカ/2022年

 

 まず初めに言わせて…

クリーデンス、めっちゃスネイプ先生に見えた!!というかもう、終始若いころのセブルスにしか見えなかった!

 

 ローリング先生原作のファンタビシリーズ3作目。勇み足で公開日に劇場へ。もちろんIMAX

 2作目はハリーポッターシリーズのファンとしてはめちゃくちゃに嬉しい内容だったものの、主軸がファンタスティックなビーストたちから外れてしまったかな、という印象が強かったが、本作ではそこを軌道修正してきたように感じた。

 1作目の魔法使いの旅に通ずるコミカルさに加え、最後の「儀式」の主役に魔法生物「キリン」を選んだことでしっかりとビーストたちに焦点が当たり、ハリーポッターとは別のこのシリーズならではの良さが出ていた。

 アメリカ、イギリスの魔法界に加え、ドイツにブータンと世界各国の魔法界が登場し、それぞれの国の特色をしっかりと表した外観が素晴らしく、コロコロ舞台が変わるので観ていて飽きることもなく面白かった。一瞬で移動できる魔法ってやっぱり便利ですね。今回はネクタイに本と、ポートキーがたくさん活躍。特に本のページが舞いながら移動する演出はとても美しかった。全体的に魔法のVFXをあまりリアリティを追求したものにしなかったのは、やっぱりハリーポッターシリーズ自体がもともと童話であり、ファンタジーであることを強調したかったのかな?などと勝手な考察をしてみる。

 ハリポタとは違い、話の規模がイギリス外にまで広がり、空間・時間ともにスケールの大きいストーリー構成なので、一つ一つの出来事や人物に細かく焦点を当てることはなく、割と飛び飛びに進んでいく印象。クィニーやクリーデンスは割とコロッと寝返ってくるし。前作の最後は何だったんだ、と言いたくもなるアッサリさで、そのあたりは好みが分かれるところだろう。今回は魔法生物、メイン人物ともに次々と登場してくるということはなく、おなじみのメンバーが中心だったので追いやすかった。ティナがほとんど出てこなかったことには意味があるのだろうか…アメリカ魔法省闇払い局長だって。次作に期待。

 

 予告でもさんざん言及されていた、「ハリーポッターシリーズでは明かされなかった、ダンブルドア最大の秘密」というのが結局何のことだったのかは、観客の解釈にお任せ、ということなのだろうか。ダンブルドアがグリンデルバルドを愛していたことか、血の誓いの効果のことか、妹を死なせた真相のことか、はたまたクリーデンスがアバーフォースの息子だということか…まあ本シリーズがクリーデンスから始まっているので、クリーデンスの出生と、ダンブルドアの一族が「オブスキュラスを生むもの」が多いということが最大の秘密と解釈しておきたい。ダンブルドアが同性愛者であることは以前にローリング先生の口から公言されていたことだし。

 あれ、でもよく考えたら「ダンブルドアの秘密」って、別にアルバス・ダンブルドアの秘密とは限らないな。アバーフォース、アリアナ、クリーデンスも含めダンブルドア一族の秘密ってことだったのか…?タイトルをそう捉えると印象が全然変わってくるな…

 

 そして不安もあり楽しみでもあったグリンデルバルドの役者交代。マッツ様は名優なので下手なことになるとは思っていなかったが、期待以上だった。めちゃくちゃ名演技だったしはまり役だった。序盤でレストランでダンブルドアを見つけた時のちょっと切なそうな嬉しそうな表情で、あ、これはマッツ様で正解だったなと思わせられ、あとは安心して観れました。もちろんマッツとジョニーではビジュアルも演技も全く違うものだったから、同一人物として綺麗に繋がったかと言われればそうではないけれど、ジョニーの醸し出す威圧的な雰囲気がない一方、マッツは自身の力への信頼による落ち着きを手に入れた感じで、キャラクター的には何年かたって年を取ったという解釈ができそう。

 ダンブルドアがグリンデルバルドを愛していたことはハリーポッターシリーズのうちから散々噂されてきたことだったので、特段驚きはしなかった。でもラストのグリンデルバルドの「誰がお前を愛する?」って台詞で、グリンデルバルドもあれこれ言いながらダンブルドアのことを愛してたのかな、と思うと切なくなりますね…

 最後、グリンデルバルドが攻撃の呪文だったのに対してダンブルドアが防御の呪文だったから血の誓いを破れたっての、ハリポタ最終章の、ヴォルデモートがアバダだったのに対しハリーがエクスペリアームスだったのと重なってめちゃくちゃ感動した。運命が繋がっている…

 

 あとはスキャマンダー兄弟のやり取りが全体的に兄弟兄弟しててほほえましかった。特に擬態のところ。バンディ活躍させてくれたのも嬉しかったな。あとクィニーが思ったよりあっさり帰ってきてくれた。ジェイコブとクィニーにはマジで幸せになってほしいよ…あんないい人たちいないもの。

 

 3作目は魔法生物にもしっかり焦点が当たっていて「ファンタビ」としても素晴らしい出来であった一方、ハリポタファンとしても嬉しいポイントが満遍なくちりばめられていて嬉しかった。ダンブルドアの火消しライターに、6つの鞄の中に入っていたクィディッチのボールや双子呪文のかけられたパン、怪物的な怪物の本など…音楽もハリーポッターから引用されていたし、さらにホグワーツ城の登場もあり大広間で生徒たちが食事してる様子や必要の部屋まで、ファンを喜ばせるには十分すぎる内容で、いちいち興奮した。

 

 何はともあれ、ローリング先生はファンタジー界の天才ですね。なんであんなユニークな魔法生物やこれだけ壮大でワクワクするストーリーが生み出せるのでしょうか。しかも「魔法」というテーマでありながら、痛々しさが全くない設定と演出。やっぱり細部まで作りこまれているからこそなんだろうな…次作も期待大。